小学校受験はいつから始めるべき?幼児ドリル累計6万部著者・幼児教室校長が年齢別に解説

「小学校受験はいつから始めれば間に合いますか?」

保護者の方から最も多くいただくご質問の一つです。

結論から申し上げると、「受験勉強」は年長からでも始められますが、「小学校受験に必要な土台」は、年少頃からの日々の生活や遊びの中で少しずつ育まれていきます。

小学校受験では知識という土台の上に、見たものを考える力や話を聞く力、手先を器用に使う力などを積み重ねていくことが大切です。考える力、話を聞く力、手先を器用に使う力、最後まで取り組む姿勢など、日々の生活の積み重ねが大きく影響します。

そのため、年齢ごとに大切な経験を積み重ねていくことが、結果として無理のない受験につながります。

新年少(3歳頃)「体験」をたくさん積み重ねる時期

新年少では、机に向かって勉強することよりも、実際に体験しながら学ぶことを大切にしたい時期です。

数量

おはじきやお手玉、積み木など、お子さんが実際に手に取って数えられるものを使って遊びましょう。

・5個並べて数える
・2個と3個を合わせる
・6個を2人で分ける

このような遊びが、小学校受験でよく出題される数量分野の基礎になります。

言語

毎日たくさん絵本を読み聞かせましょう。

語彙が増えるだけでなく、「人の話を最後まで聞く力」や「場面を想像する力」も育ちます。

読み終わった後に、

「どんなお話だった?」
「主人公はどう思ったかな?」

など、親子で会話を楽しむこともおすすめです。

常識

季節の花や野菜、果物を五感で感じる経験をたくさんさせてあげましょう。

見るだけではなく、

・触る
・匂いをかぐ
・味わう

といった体験が、季節や自然への理解につながります。

新年中(4歳頃)少しずつ「考える力」を育てる時期

新年中になると、遊びを通して少しずつ考える力を育てていきましょう。

図形

パターンブロックやタングラムなどの図形パズルがおすすめです。

形を組み合わせたり、回転させたりする経験は、図形問題だけでなく、考える力そのものを育てます。

数量

数を素早く数えたり、

・合わせる
・分ける
・増やす
・減らす

といった簡単な操作に親しみましょう。

また、大きなコップと小さなコップを用意して、同じ量の水を入れ替えてみる遊びもおすすめです。

例えば、「コップの形が変わっても、水の量は変わらないんだね」と親子で話しながら、お風呂で遊び感覚で体験してみましょう。こうした経験は、小学校受験でもよく扱われる「量の保存」の理解につながります。

この時期は、机の上で知識として覚えるよりも、実際に見て、触れて、動かしながら学ぶことが大切です。遊びの中で得た体験は、お子さまの理解をより深いものにしてくれます。

言語

身近なものの名前を、日常生活の中でたくさん言葉にして聞かせてあげましょう。

例えば夏なら、

・風鈴
・蚊取り線香
・うちわ
・朝顔
・かき氷

などがあります。

実物を見たときに、「これは風鈴だね。風が吹くときれいな音がするね」などと、名前だけでなく、特徴や使い方も一緒に話してあげると、言葉への理解がさらに深まります。

また、しりとり遊びも、語彙を増やすのに大変有効です。

「たこ―コスモス―すいか―カメラ―ランドセル―る、る……ルンバ!」

というように、親子で楽しみながら言葉をつないでみてください。

しりとりは、言葉を思い出す力だけでなく、「最初の音」「最後の音」を意識する力も育てます。すぐに次の言葉が出てこなくても急かさず、ヒントを出したり一緒に考えたりしながら、言葉遊びそのものを楽しむことが大切です。

日常生活の中でたくさんの言葉に触れ、実際に声に出して使う経験を重ねることで、語彙力や言葉の理解力が少しずつ育っていきます。

常識

社会のルールやマナーも少しずつ身につけたい時期です。

例えば、

・公共の場所では静かに過ごす
・電車やバスでは席を譲る
・順番を守る
・ごみは持ち帰る

など、実際の生活を通して学んでいきましょう。

小学校受験では、知識だけではなく、日頃の生活習慣や社会性も大切にされています。

新年長(5歳頃)受験に向けて力を伸ばす時期

新年長になると、いよいよ受験を意識した取り組みを始めます。

話を聞く力を育てる

家庭では、お手伝いを通して、話を聞いて行動する練習ができます。

例えば、

「台所からみかんを2つ、クローゼットの棚からエプロンを1枚持ってきてね」

というように、場所・物・数を組み合わせた複数の指示を出してみましょう。

最初は一つの指示から始め、できるようになったら少しずつ内容を増やしていくことが大切です。うまくできなかったときは叱るのではなく、「何を持ってくるんだったかな?」と、一緒に思い出してあげてください。

聞いた内容を理解し、覚えて、その通りに行動する力は、小学校受験でも大切な力です。

そして、「人の話を最後まで聞く力」は、受験のためだけに必要なものではありません。小学校入学後、授業で先生の説明を聞き、何をするのかを理解して学習に取り組むための土台にもなります。

日常のお手伝いを「勉強」にしてしまうのではなく、親子のやり取りを楽しみながら、少しずつ聞く力を育てていきましょう。

ペーパー学習

年長になると、日々の生活の中に、少しずつでもペーパー学習を取り入れてみましょう。

大切なのは、一日にたくさん取り組むことではなく、無理のない範囲で継続することです。10分でも15分でも、毎日机に向かう習慣をつけることで、集中して課題に取り組む力も少しずつ育っていきます。

一方で、倍率が高く、ペーパー問題の難易度も高い小学校を目指す場合には、相応の演習量が必要になることがあります。実際に、私が校長を務める小学校受験専門の幼児教室でも、年長になると一日に50枚ほどのペーパーに取り組むお子さまもいらっしゃいますが、これは難関校を目指す一例です。

ただし、「50枚やらなければならない」という意味ではありません。必要な演習量は、志望校の出題傾向、お子さまの現在の理解度、取り組む問題の難易度などによって大きく異なります。

枚数の多い・少ないだけで判断するのではなく、

・どの分野を理解できているか
・どこでつまずいているか
・同じ間違いを繰り返していないか
・問題の指示を正しく理解できているか

といった学習の中身を見ることが大切です。

保護者の方も、志望校ではどのような分野や難易度の問題が出題されるのか、過去問題集などを通して確認してみましょう。実際に保護者の方が問題を解いてみると、お子さまに求められる力や、家庭で準備すべきことが具体的に見えてきます。

なお、小学校受験では、入試問題を一般公開していない学校も少なくありません。

市販されている学校別の過去問題集の中には、受験したお子さまや保護者から試験内容を聞き取り、再構成して作られているものもあります。そのため、掲載されている問題が、実際の出題内容や表現を完全に再現しているとは限りません。

それでも、過去問題集からは、

・よく出題される分野
・問題のおおよその難易度
・出題形式
・学校ごとの特徴

などを把握することができます。

過去問題はあくまでも志望校の出題傾向を知り、今後の学習方針を考えるための資料として活用するとよいでしょう。

ペーパー学習の量や進め方には個人差があります。お子さまの理解が伴わないまま枚数だけを増やすのではなく、志望校に必要な力を見極め、一問一問を確実に身につけていくことが大切です。

巧緻性

手先を使う活動にも積極的に取り組みましょう。

例えば、

・折り紙
・はさみ
・のり
・ひも結び(蝶結び)
・工作

などです。

巧緻性は実技試験だけでなく、鉛筆を正しく持つことや丁寧に作業する姿勢にもつながります。

「受験するか迷っている」というご家庭へ

「まだ受験するか決めていません。」

そのようなご相談もよくいただきます。

その場合は、まず学校見学へ行ってみることをおすすめします。
私立小学校や国立小学校だけでなく、可能であれば学区の公立小学校も見学してみましょう。

実際に学校を見ることで、

・教育方針
・先生や児童の雰囲気
・校舎や施設
・通学距離
・学校生活

など、パンフレットだけでは分からないことが見えてきます。

また、複数の学校を見比べることで、「どのような教育をわが子に受けさせたいのか」という家庭の教育方針も整理しやすくなります。

早く始めるほど有利でしょうか?

小学校受験において、知識を身につけることはもちろん大切ですが、それらを実際の行動や思考に活かす力も求められます。見たものを考える力や最後までやり遂げる姿勢は、日々の生活の積み重ねから生まれます。

だからこそ、早めのスタートは時間にゆとりを持って準備を進められる大きなメリットがあります。年少、年中の早い時期からお子さまの成長に合わせて一歩ずつ着実にステップアップしていくことで、年長期の実践的な仕上げを余裕を持って迎えられます。

同時に、あとから受験を志された場合も、決して遅すぎることはありません。年長期は、お子さまが集中して一気に成長できる貴重なタイミングでもあります。

幼児期の発達スピードは一人ひとり異なるため、その時期に合わせた最適なカリキュラムで「土台作り」と「実践」を効率よく進めましょう。大切なのは「いつ始めたか」よりも、「今のお子さまに合わせたベストな方法で積み重ねられるか」です。

まとめ

小学校受験は、早い時期から少しずつ土台を作っておくことで、受験期を比較的スムーズに迎えやすくなります。ただし、単に早く始めればよいというものではありません。

新年少では、実物に触れながら学ぶこと。
新年中では、遊びの中で考える力や言葉を育てること。
新年長では、聞く力、ペーパー、手先を使う活動などを、少しずつ受験につなげていくこと。

ご家庭によって、受験を考え始める時期も、目指す学校も異なります。周囲と比べて焦るのではなく、「今のわが子に必要なことは何か」を考えながら、一つずつ積み重ねていきましょう。

小学校受験をするか迷っている場合は、まずは実際に小学校を見学し、ご家庭の教育方針を整理するところから始めてみてください。


青木みのり
幼児ドリル累計6万部著者。東京都世田谷区の幼児教室「MBキッズカレッジ」校長。