[学校訪問記]成城学園初等学校(2024.3.13)
こんにちは。好奇心・思考力・表現力を育む幼児教室MBキッズカレッジ校長の青木みのりです。世田谷区用賀にて幼稚園・小学校受験を目指すお子様たちと一緒に、日々楽しく過ごしております。
小田急線成城学園前駅北口を出て、清流を見ながら仙川沿いを歩くことおよそ10分。緑の森がまぶしい成城学園初等学校にお邪魔してきました。
成城学園初等学校は、創始者である澤柳政太郎(さわやなぎ まさたろう)先生が、大正時代に画一的な教育を打破するために設立した実験学校がルーツとなっています。
創立100年を超える伝統校で、私たちの幼児教室からも近いロケーションということもあり、コロナ以降久しぶりの学校訪問をとても楽しみにしていました。
それではレポートをどうぞ!
自然いっぱいの中で育つ成城っ子


「小学校受験して入学する小学校」というと、もしかしたら「小さいうちから遊びよりも勉強ばかり」のようなイメージがあるかもしれません。しかし、少なくとも成城学園初等学校は違います。どちらかというと真逆のイメージです。
たとえばこんな話を伺いました。あるとき子どもが学校で木登りをしていて、木の上から落ちてしまって救急車騒ぎになったことがあるそうです。そういうことがあると、一般的にはすぐに「木登り禁止」が検討されるでしょう。
成城学園初等学校ではどうしたかというと、その件で木登り禁止にはしなかったそうです。もちろん安全性には最大限の配慮をしたうえで、子どもたちには「雨の日は木が滑るよ、枝もすべるから気をつけて登りなさいね。落っこちないようにね」と伝えたそうです。禁止にするほうがはるかに簡単だけれど、そうではない教育をしている学校ということです。
本物の自然の中で本物の感触を知る機会を奪わないということなのでしょう。これは保護者との厚い信頼関係がないとできないことで、とても勇気のあることだなあと思いました。
校舎の窓からも四季折々の自然を見ることができる「かんさつの森」は、まるで「秘密の森」と思えるような素敵な場所です。木陰で秘密基地を作ったり、低木を家に見立てて過ごしたりと、子どもたちは想像力を掻き立てながら楽しい時間を過ごすことができます。
見学当日は春の風が吹き荒れ、木々の葉っぱをザッバザバと煽っていました。オールバックレベルの強風にも全力で反応する成城っ子たち。学園内の自然のなかで、子どもたちは鬼ごっこしたり虫を見つけたり、冬でも水遊びをしたり子どもらしく泥だらけになって遊ぶそうです。
こどもが学校からきれいな格好のままでおうちに帰ってくる生活をイメージしているご家庭には、成城学園初等学校は向かないかもしれないなと感じました。
木の温もりが感じられる新校舎


森の中に佇む新校舎は5年前に新しくなったばかりで、なんと教室の天井は斬新な木の格子型!スタイリッシュなデザインの中にも温もりが感じられる作りとなっています。
階段の踊り場の下などには、秘密の隠れ家的なDENと呼ばれるスペースもあり、小学生たちにとっては格好の秘密基地になりそうだなと思って見ていました。
ほかにも校内で気になったのが校舎の裏手にある「地獄谷」という場所です。なんだろう!このワクワクするDENとか地獄谷とか!ハックルベリーの冒険に入り込んだようなワクワク感がとにかく止まりません。
成城学園初等学校は、「個性尊重・自然と親しむ教育・心情の教育・科学的研究を基にする教育」の教育の4つの希望理想があります。
個性尊重を謳っている学校ですが、子どもたちの個性だけじゃなく先生たちの個性も大切にしています。先生と子どもたちは親しみを込めてお互いをニックネームで呼び合い、ファミリー感の強い独特な雰囲気が醸成されています。
保護者との信頼関係についても、もう一つ印象的なお話を伺いました。ある年、海の学校のような催しで子どもがウツボに噛まれることがあったとのことです。みんなでウツボを捕まえてカゴか何かに入れようとして、手袋をしていたお子さんがウツボを掴んだ瞬間、噛まれてしまったのですね。
もちろんすぐに病院に搬送されたとのことですが、手を噛まれてしまったお子さんの保護者にはこう言われたそうです。「先生、うちの子が怪我をしたからといってこの行事がなくならないようにしてください。」と。
子どもが活動中にウツボに手を噛まれるというようなことがあったら、どうしても「もう海の活動は危ないからやめよう」と消極的になってしまうことも多いと思います。前述の木登りの話と同じように、学校としては子どもたちをルールで縛ったり、危ないからといって禁止事項を増やしたりするほうが簡単なのです。そうではなく、学校と保護者が同じ方向を向いて、覚悟をもって子どもたちの生きる力の経験を育んでいるのだという連帯感を感じました。
一環教育だから、そのまま大学にあがれるから、中高もかなり偏差値があがってきているから、という目的で成城学園初等部を選ぶのではなく、学校のことを十分によく知ったうえで「成城の初等学校が好き!」という方に入学してきてほしいとのことです。
意思や意欲や想像は、ルールが少なければ少ないほど自分たちで考えて決めなければいけません。そこを成城学園初等学校では大切に伸ばしたいとのことです。自分たちで考えるということ、それはまさしく非認知能力の育成につながります。「非認知能力は矯正されたルールの中ではなかなか育たない。」というお言葉がとても印象的でした。
成城学園初等学校 入試について


今まで成城学園初等学校はノンペーパー(一問一答)入試という印象が強かったのですが、昨年よりペーパー入試が一部導入されました。
お話(問題指示)が放送で流れて、通学路の歩き方(マナー)の問題や、長いお話の記憶として、出てきた絵はどれか?などが出たようです。多くは生活や言語領域の問題だったようですが、数の問題も出題されたとのことです。
難しい難問や応用問題が解けるかどうかということではなく、基礎がしっかり理解できていて、かつ集団で座ってお話が聞けるかどうかはとても重要です。一問一答では答えられるお子さんでも、ペーパーで出てくる場合は「しっかりお話を聞く」という練習が特に必要ですね。
イラストや形を見て覚えるという「映像の記憶」については、プロジェクターに映った絵を見て答えるという形で出たようです。何種類かの絵が映し出されて、一番初めに写った絵はどれか、最後に映ったのはどれか、などという問題です。
巧緻性では点繋ぎも出たようで、これは正答率も高かったようです。
入試日程の変更点としては、令和5年から4日間の入試となりました。お子様が学校に来るのは男子が2日間、女子が2日間となり、合計4日間かけて行動観察の時間と親子面接の時間を伸ばし、ご家庭やお子さんとのマッチングをじっくり見るようになったとのことです。
試験の方針としては、第一希望に近いお子さんを目指すのが方針とのことで、試験内容もそのあたりを重視されています。受け入れる学校側としても、これから長い間かけて一貫校として通わせる保護者も、そして何よりお子様も一番幸せになるように、成城のことをしっかり理解して入ってきてほしいとのことでした。
実際の出願数は193名(男子)と178名(女子)で、倍率およそ5.2倍とのことでした。例年との違いは、これまでずっと男子が少なく女子が多めだったとのことですが、昨年は男子が増えて女子が少し減ったことが意外だったそうです。
入試では、実際のお金を出して買い物をする一問一答考査もあったそうです。子どもの前にお金の入ったトレー(100円玉3枚、10円玉を4枚など硬貨が入っている)があって、子どもたちがキャンデーを買うという設定です。
キャンデーの値段はちょっと半端な金額(たとえば38円など)に設定してあったようですが、「いくらお金を出したら買えるかな?」ということを考える問題ですね。「38円のキャンデーなら40円出せば買える」ということですが、子どもたちにとってはお釣りの概念がちょっと難しかったようです。
今は「スマホをピッ」で電子決済できる時代ですが、どうぞ親子で買い物に行くというような経験をしてみてください。お買い物を通じて実際のお金を操作することは立派な実物教育になると思います。実物のお金の受け渡しをする機会が減り、子どもたちが紙幣や硬貨(目に見えて触れるお金)を実際に扱う経験をしないまま大人になってしまうことには、私はなんとなく一抹の怖さを感じてしまいます。


ちなみに、入試の内容は男子と女子で変えているとのことで、女子の方が比較的難易度が高めと伺いました。(これは女子の方が後の入試なので公平にするためだと思われます。)令和6年度の入試も引き続き4日間にかけて行われる予定で、試験一つ一つの時間を長くしてお子さんや家庭の様子をじっくり見ていただけるとのことです。
面接で大事にしていることは、まず「初等学校への理解があるかどうか」です。そして「親子での関わり(保護者とお子様がどのように関わっているか)」についてもよく見られているとのことです。家庭で豊かな会話がなかったりすると答えにくいような質問もされるようです。普段から親子の会話を大切にしましょう。
考査で大切にしていることは、「人の話が聞けるかどうか」ということだそうです。これは訓練(反復練習)だけでできることではありません。5歳児なりに普段の生活からきちんと話を聞く姿勢が育っているかということが重要だと思います。
運動考査は1日目にあり、きちんと指示が聞けているかということと、運動に向き合う姿勢を見ているとのことです。昨年から失敗してもやり直していいということにしたそうで、失敗しても諦めずに乗り越えようとする姿勢も見ているとのことでした。
また、学校では集団での生活となりますので、人に迷惑をかけないことも大切です。そういう点からも、初めて出会ったお友達に乱暴な言葉をかけたり乱暴な行動をしたりするとかなりマイナスになるとのことです。楽しい活動の中で、先生たちはその子の素の自然な姿を見てくださっています。
希望されるご家庭におきましてはとにかく初等学校まで何度も足を運んで、成城学園の雰囲気をしっかりと感じてみるとよいでしょう。火曜日には遊び場開放もありますので、ぜひ学校の様子を見に行ってください。成城の子どもたちはどんな子たちかな、ということを肌で感じていただけると良いと思います。
成城学園初等学校を目指すお子様にMBキッズカレッジ「小学校受験クラス(年少知育・年中総合・年長総合・個別レッスン)」

