[入試振り返り]2021年秋の入試を振り返って

こんにちは、幼稚園・小学校受験専門家の青木みのりです。

私たちの幼児教室のある東京都では、まだ一部入試が残ってはいますが、2022年4月入学に向けた今年度の小学校入試はほぼ終了いたしました。

終了したばかりなのですが・・・

今年は各校からの入試結果報告会が早いです!


すでに桐蔭学園小学校、聖心女子学院初等科、そして洗足学園小学校と、今年の入試を踏まえた総括や来年度に向けての変更点などなど・・・様々な情報が幼児教室関係者向けに発表されました。


塾や幼児教室関係者向けの学校説明会の開催は、私の記憶ではコロナ前はこんなに早くなかったような気が・・・。確か毎年5〜6月ごろだったのが、ここ1〜2年で年内から入試結果報告会がスタートされるとは!と驚きつつ。



なぜ驚きかというと。やっぱり首都圏では私立小学校入試の熱が確実に高まってきていると思うのです。私たちの教室でも、ここ数年ではありがたいことに入室希望者が多い状況です。


これはやっぱりICT教育環境整備が保護者の方に高く評価されている点が大きいように思います。公立小でもコロナ禍によってICT環境整備は加速されましたが、取り組み方においては進み方は学校や自治体によってまちまちだったりもしますしね。


私立小は本当に早かったです、このコロナ禍におけるICT化が。もちろん学校にもよりましたが2020年3月に緊急事態宣言が出てすぐ翌日からオンライン授業に切り替わった学校も多かったですよ。それはもう見事なまでに。


あとは、首都圏の中学入試の過酷さ回避も大きいと思います。上のご兄弟が中学入試で大変な様子を保護者として経験すると、下の子は小学校から私立に入れよう!と思われるご家庭もあるのだろうと推測します。


確かに中学受験は遊びたい盛りの小学生をまる3年間拘束してしまうわけですからね。中学受験の問題たるや、親御さんでも到底教えられないような難しいものも出てきますし。(でも、言わずもがな中学受験に挑戦することで得られるメリットもたくさんあります。)


中学受験に比べると小学校受験は、まだ親御さんが問題を教えられるくらいの難易度で、準備期間もおよそ2年が一般的だと思います。小学校受験には中学受験とはまた違った過酷さはあるのですが、少しでも早めに進路を決めてしまって学童期をゆったり過ごしたい!という意識もあるのかもしれません。


そういうこともあって、少しずつ私立小受験者数が増えているのかもしれませんね。

入試問題は「社会的インパクトまで考えて出題する」

実は先日、立命館小学校の入試広報の先生とお話しする機会がありました。関西と首都圏の私立小学校入試事情も色々と違うところがあって大変勉強になりました。


立命館小学校も今年度入試で入学志願者が増えたようです。


都内近郊や立命館小学校だけでなく、私が気になっている軽井沢の風越学園も5.5倍の倍率です。
https://kazakoshi.ed.jp/news/admission_info/20665/


私立受験は保護者の経済状況も大きく関係してくるので、エリアによっては志願者減少のところもあると思いますが、教育が多様化してきている昨今、私立小の環境の良さを求める保護者がますます増えてきているようです。


小学校か中学校からの私立一貫校だけでなく、例えばインターとか、海外のボーディングスクールとか、学校も色々あるので、教育に関心の高い親御さんは、逆に迷いも多いかもしれません。


さて、立命館小学校入試広報の先生のお話の中でも非常に印象に残ったのは「我々の入試問題は、社会的なインパクトまで考えて出題する」とおっしゃっていたこと。社会的インパクトまで考えた入試問題。非常に深いです。


立命館小学校が出した入試問題や入試の形式は、他の私立小にも波及する。そうすると我々のような幼児教室サイドも、その入試に対応した対策をする。幼児教室側の対策とイタチごっこのように、さらに別の視点からの問題が生まれて・・・


そしてだんだんと「未就学児にここまでの難しいことをさせるのか?」ということが入試問題に出てくるようになります。結果的にそれは広く波及して多くの未就学児に影響を及ぼすことになるわけです。


先日学校説明会で伺った聖心女子学院初等科の先生からも「未来を生きる子どもたちにふさわしい問題を考えるよう務めています」とお聞きしました。


学校側は「このような子どもを育てたい」という思いで、責任を持って入試問題を作っているのですね。


学校が育てたい子ども像に加え社会的インパクトまで考えて入試問題を作る。これはドリルや問題集の書籍を書かせていただいている私にとっても、大変勉強になる視点でした。


それにしても例えば仮に定員が100人のところに1000人近くも志願者が来たら、問題を難しくせざるを得ませんよね。社会的インパクトと、倍率が高まれば問題を難しくせざるを得ないというそのバランス感覚たるや、入試作成の先生方には本当に頭がさがる思いです。

行動観察「判定での比重が高まってきている」

保護者の方にとって、小学校入試の不透明なところは「ペーパーテストの点数だけでは決まらない」ということでしょうか。


小学校入試の独特な点。それは行動観察(保護者面接も含む)があるということ。本人の行動観察だけでなく、保護者にも面接や願書作成など、学校から様々な角度でご家庭丸ごとジャッジされる点です。(例外として一部、保護者面接のない小学校もあります)


慶應幼稚舎やお茶の水女子大学附属小学校、青山学院初等科も立教小学校も、いわゆるノンペーパー校です。子どもの知能的なことを見るのに、ペーパーテストではなく口頭試問などを含めた行動観察、個別テストという手法でテストします。


この行動観察は他の私立小でも年々重視されてきていて、桐蔭学園小学校のアドベンチャー入試や新渡戸文化小学校の好きなこと入試などもその流れだと思います。中学入試に向かっていく洗足学園小学校も宝仙学園小学校も、同様に「ペーパーだけでは合否は出されません」とおっしゃいます。


初めて小学校受験をする親御さんは、もしかしたらなかなかピンとこない部分かもしれません。


行動観察自体は、幼児が一見楽しく遊んでいる(ように見える)テストです。でも「先生のお話をしっかり聞いてその通りにできるか」という視点からその遊びや活動を見ると、いろんなことが分かります。これは5歳児さんにとってはとても難しいのです。


社会的経験を積んでいる大人は、ある程度「素の自分」を隠せますね。仮に何か嫌なことがあっても、態度に出さずに和かな顔で我慢もできるでしょう。皆さん社会経験を積んできてる大人だから。


でも子どもは、つい「素のままの自分」が出てしまうのです。


じゃんけんゲームしたり楽しい遊びをする中で、はしゃぎすぎてしまう子。先生がお話ししているところについ割って入る子。ボールで遊んでいて「はい、それではやめてボールをお片づけしましょう」の指示を聞いても「嫌だよ!もっとやりたい!」と続ける子。お友達とのかけっこに負けて、ふてくされてしまう子。


これらの行動は非常に子どもらしくて可愛いといえば可愛いのですが、入試の場では良い方向に働くわけではありません。


言葉使い、佇まい、友達との関わり合い、先生からの質問の受け答え・・・。学校によって採点基準は多少違うと思いますが、これらは行動観察テストを通じてまるっと全て見られているということです。


なぜペーパーテスト(学力)だけでなく、行動観察や保護者に対してもジャッジされるかというと、それは「私立小は、環境を提供するところだから」だと思うのですね。


「環境」というのは、授業のカリキュラムや設備の良さだけを指すのではありません。同じ学年に集う仲間(友達)や保護者も含めて、その学校の環境ということです。


明らかにお友達に意地悪なことをする子は行動観察でチェックされて不合格になるでしょう。ワガママな子がいると、小学校での円滑な集団生活に支障をきたします。


何かにつけて神経質で明らかにクレーマーになりそうな保護者も、学校側からするとご縁を結びたくないですよね。学年に理不尽なクレーマーがいると先生たちも疲弊してしまいますし、学校の雰囲気も悪くなります。


こうして校風に合う先生や、校風に合う保護者や、校風に合う子どもたちで、その学校の環境が作られます。そして次の学年の保護者はその環境に入りたくてまたその学校を受験する。


そのように毎年積み上がって、脈々と受け継がれる伝統になり、伝統校と言われるようになる。


だから、私立小というところは保護者面接もあるし、子どもの行動観察もあるのです。


年々の入試を踏まえても、決してペーパーテストだけで合否が決まるわけではなく、行動観察や保護者面接がより一層重視されてきているように思います。

私立小とは、環境とプロセスを大切にする世界

人生のキャリアの中で、もし学歴を問われる時があるとすれば、大抵は最終学歴で判断されることが多いように思いますがいかがでしょうか。(最近は中高がどこか、ということもチェックされたりすることもあるのかな。)


「出身大学がどこか」というのは就職や結婚の時に話題に出るかもしれませんが、小学校がどこ出身かなんて、全国的に見たら小学校受験界隈の住人でないとほぼ興味を持っていただけないくらいのニッチな狭い世界だと常に思っています。


多くの人にとって、最終学歴的には大きく響かない(であろう)小学校名。なのになぜ、私立小を志す保護者皆さんは、高いお金を払って我が子を小学校受験させるのか。


小学校受験を志す多くの保護者は、「公立では得られにくい環境と経験(例えば手厚い教科担任制とか、手厚いアフタースクールとか、最先端のICT 環境とそれを教える先生たちの高いスキルとか、施設設備の豪華さとか、同じような家庭環境の生徒や保護者が集うことによる安心感など色々)を、私立小は高い品質で提供している」とお考えになっているのだと思います。


私は年間を通じて色々な私立小さんにお邪魔し、見学をしています。私立小学校というところは、学校それぞれに独特な校風があり、人脈があり、歴史があり、世界観があります。



公立小にも、自治体によって色々な個性があると伺っていますが、公立である以上ある程度の縛りがあるのだろうと思います。一方、私立の場合は各校が建学の精神に則っているので、本当に個性は色々です。保護者のお考えや価値観に合う私立小があれば、そこに入りたくて小学校お受験を志します。


一括りに私立小受験といっても色んな小学校があります。例えば慶應幼稚舎は、そこに入ると最終的な学歴が日本での私立大最高峰へと繋がるだけでなく、ブランド力も環境もやっぱり私立小受験の最高峰だからこそ熱望する保護者も多いわけです。


とはいえ、慶應幼稚舎受験者と言っても1500人程度(2020年慶応幼稚舎志願者数)。日本全体で見ると、ほとんどの小学生は公立小に通っています。小学校受験に関心のない多くの人たちからすると、慶応幼稚舎が幼稚園だと思ってしまう人たちも多いのです。


(かくいう私もお恥ずかしながら、この業界に入る前までは小学校受験に関心を持ったこともなければ慶應幼稚舎も幼稚園だと思っていました。この事例からわかりますことは、人は何歳からでも変われるということです。)


・・・と、話が逸れましたが、つまり私立小というところは、子どもの6年間にとって貴重な経験とプロセスを高品質に提供しているわけです。入学者とその家族は、私立小の環境としての一端を担います。


その学校の世界観に共感し、その世界観に入りきることができない保護者は面接で落とされてしまうのです。

初めての入試だからこそ一つでも合格を!

幼児教室の先生をしておりますと、(いや、中学受験塾の先生も同じかもしれませんが)「難関校、あるいはブランド校だけ受験して、ダメなら公立に進みます(名前を聞いたことのない私立など受けません)」という保護者は稀にいらっしゃいます。そのこと自体はもちろん否定しません。


何度も言いますように小学校受験はニッチな世界ですから、保護者の方もまるでご自分の時の大学受験のノリで参入してこられる方も稀にいらっしゃる。それは仕方のないことです。



「そんな聞いたことがない私立の学校に高い学費を払うなんて・・・」
「せっかく小学校受験するなら早慶、ダメでもせめてGmarch(つまり青山か立教か学習院)くらいには入って欲しい」


このようなご希望をおっしゃる保護者の方も割といらっしゃいます。


もちろんいいのです。親御さんはどなたも、お子さんを愛し、お子さんの将来を一生懸命考えておられるのです。そのご希望にお応えできるように、一緒に頑張るのが我々幼児教室なのですから。



そうして親御さんも我々も、もちろん本人も、希望校に向けてめちゃめちゃ一生懸命頑張ります。頑張って、頑張って、頑張っても、それでも大変残念なことですが、入試って絶対に合格するという保証はないのです。


模試でも常に良い成績を取っていたお子さんが本番当日に体調が優れずに不合格をいただいてしまうということもあります。


本人の成績や体調が絶好調だったとしても、まだまだ幼い5歳児さんです。


隣の子がいきなり泣き出すかもしれない。鼻血を出したり吐いてしまったりすることもあります。入試中のお漏らしも結構聞きます。


あなたのお子さん(5歳児)は、隣の子がお漏らししてしまって、先生たちがその対応でバタバタしているときに、冷静に何事もないように集中してペーパーの問題を解くことができるでしょうか。


後ろの子がいきなり吐いてしまって、自分の背中にかかってしまった。それでもお子さん(5歳児です)は、ごくごく冷静にペーパーを解くことができるでしょうか。


そんな冷静沈着なゴルゴ13のような5歳児は、私は見たことありません・・・。



5歳児の入試だからこそ、吐く、お漏らし、鼻血。こういうことも実際にあり得るのです。



聡明な皆様であればお分かりでしょう。幼い子どもが主人公の小学校受験において、強気の受験校だけで突き進むというのは、とてもハイリスクなのです。(危険、という意味ではありません。ブレ幅が大きいという意味です。)


冬も春も夏も、毎日のように教室に通って、来る日も来る日もペーパーとなわとびに明け暮れ、そうして過ごしてきた数年間。こどもながらに皆、遊びたい気持ちを抑えて必死に頑張ってきているのです。


それでも経験豊富な幼児教室の先生が比較的合格をいただきやすい併願校をお勧めする、というのは、「入試に絶対はない」ということがわかっているからです。


仮に、「どうせ受かっても行かないだろう」と、ご縁をいただきやすい併願校ナシでゴリゴリの強気受験校で行く場合・・・


実力が発揮できて希望校に合格すれば、決して安くない入試料は倹約できます。併願校に払う入学金だって必要ありません。万事オーケーです。


けれど、幼児の受験だからこそしばしば起こりうる予想不可能なことが起こってしまったとき(どこからも合格をいただけなかったとき)には・・・代償としてとても大きな胸の痛みを背負うことになります。


それは、本当に大きな胸の痛みです。


初めのうちはネームバリューに偏った志望校選びをしていてもいいのです。強気の希望校でもいいのです。それを叶えられるように、幼児教室の先生を味方につけて全員一致で頑張るのです。


そうこうしながら、お子さんの受験準備を進めるとともに保護者のお受験的な経験値も上がってきた時には、ぜひ、お通いの幼児教室の先生に相談して、いろんな学校に実際に見学に行ってみて欲しいのです。


数ある私立学校を実際に見ていただいて、少しずつ「この学校は、一般的にいうブランド校ではないかもしれないけれど、うちの子の個性や雰囲気に合っているなあ」とか「この学校の先生たちはみんなとても丁寧で気持ちがいいなあ。」とか


あるいは「この学校は全くノーマークだったけど、来てみたらなんだかとてもほっこりする。」とか「1クラスの人数が少人数制で手厚い。早生まれのうちの子には理想的だなあ!」とか、色々とお感じいただけることと思います。


皆さんのご家庭にとって心地よい小学校という環境を探すこと、そして学校の持つ世界観に共感して希望校を選んでいただけますようにと願っています。


熱望校から仮にご縁をいただけなかったとしても、「ここだったら行かせてもいいな、安心して我が子をお任せできそうだな」という併願校があって、そこから花マルの合格をいただけたとしたら・・・そこから改めて冷静に進学先を考えることだってできるのです。


熱望校じゃないからと公立に行かせて中学受験でリベンジするという決断もあるでしょう。ご縁のあった私立に行かせるという決断もあるでしょう。どちらも正解だと思います。


お受験スタートの時におっしゃった「早慶、あるいはせめてGmarch」というご希望が、もしかしたら叶えられなかったとしても


「あなたのお子さんは素晴らしい。ぜひ私たち学校でお預かりしたい」と言って合格をいただけた私立小が1つでもあるのと全くないのでは、それはもう雲泥の差なのです。


せっかく頑張ってきた数年間を、どうか胸を張って花マルをもって終えてください。だってお子さんにとって初めての受験です。合格をいただくという成功体験は、きっとその後の親子の励みになると思うのです。


そして、私立小の良さやそれぞれの学校の世界観をお伝えするのも、私たち幼児教室の使命だと思っています。

まとめ

とにかく受験生としては行動観察を頑張りましょう!躾や身のこなしを含めて、ペーパーよりも仕上がるのに大幅に時間がかかります。

それから、お受験する以上は併願校をしっかりと視野に入れておきましょう。熱望校のお試験の前に「合格が一つでもある、ない」はメンタル上、とても必要です。

初めての入試だからこそ、合格を手にすることは思った以上にとても大切。一生懸命頑張ってきたお子さんには、ぜひ成功体験を与えてあげましょう!


青木みのりMBキッズカレッジ校長

▼著書
小学校の勉強ができる子になる問題集
小学校の勉強ができる子になる問題集やさしめ
おはなしワークブック1. がんばれ!ももたろう
おはなしワークブック2. きをつけて!あかずきん