筑波大学附属小学校の入試解説(2019.11.7)

楽しい知育&幼小お受験専門家の青木みのりです。
私立小学校の入試がほぼほぼ落ち着く頃。東京ではいよいよ筑波大学附属小学校の長い長い戦いの火蓋が切って落とされます。
東京都にある国立小学校は6校。ざっとおさらいしましょう。カッコ内は最寄り駅です。
筑波大学附属小学校(茗荷谷)
お茶の水女子大学附属小学校(茗荷谷)
東京学芸大学附属竹早小学校(茗荷谷)
東京学芸大学附属大泉小学校(大泉学園)
東京学芸大学附属小金井小学校(武蔵小金井)
東京学芸大学附属世田谷小学校(都立大学)
もっとも多い受験生を集めるのが筑波。毎年、私立小の結果が出て落ち着く11月上旬(2019年では11月8日)に1次抽選があります。
今日は筑波大学附属小学校の試験について。
細かい数字が載っているサイトもありますが、ここでは分かりやすさを念頭に置いて、お受験専門家としての意見も盛り込みながら「ざっくり」した内容でお届けします。
筑波大学附属小学校は毎年どのくらいの人数が受けるの?
通学区:東京23区、西東京市、埼玉県和光市に親子で居住
募集人数:128人(男女比1:1)
受験人数:毎年およそ4,000人くらい。例年、女子と比べると男子受験者の方が若干多いです。
月齢:生れ月に応じて3グループに分かれます。4月〜7月生まれはAグループ、8月〜11月生れはBグループ、12月〜3月生れはCグループとなります。
ちなみに小学校受験界では日本一多い受験者数の小学校で、筑波大学附属小学校は名実ともに国立小学校の中心的な学校と言ってもよいでしょう。
受験者の層としては、居住区だからと本格的な準備はせず記念受験のようなスタンスで受ける子もいます。私立難関校を突破し、合格を持った状態で受験しにくる精鋭5歳児さんも多く含まれます。
どの子も同じ条件で1次抽選にトライし、2次の試験(ペーパーテスト及び行動観察)に進む確率は約半分。1次抽選では、受験者4,000人ほどからおよそ半分に絞られます。
ちなみに、私立小学校で一番多い受験者数はあの慶應幼稚舎です。毎年の受験者数はおよそ1,500〜2,000人ほどです。当然ですが私立ですので抽選ではありません。
意外に思う方もいるかもしれませんが、幼稚舎にはペーパーテストもありません。(その代わり難易度のウルトラC級の行動観察テストがあります)

筑波大学附属小学校の試験傾向
(1)パーパー(図形)
ペーパーでは図形とお話の記憶が頻出分野です。図形の難易度は高く、子どもにとってはとっつきにくい図柄かもしれません。少なくとも、トレーニングをしていないお子さんが解こうと思っても、問題の意図すら分からないと思います。
図形の回転、重ね、分解など、複雑な図形などについてはよく出てくるので、しっかりとトレーニングして試験に臨みましょう。
(2)ペーパー(お話の記憶・常識)
長文のお話を聞きます。4分〜5分程度で、いろんな登場人物が出てきます。お話の内容は5歳児にとってかなり複雑ですので、しっかり聞き取って、その後の設問に答えましょう。
小学校入試では、問題文はひらがなで書かれていません。全てテスターによる口頭での読み上げ、または放送です。1回だけ、全員に向かって問題を聞かせます。1回で聞き取って覚えていく(お話の内容を記憶していく)ので、これもトレーニングが必要です。集中力が一瞬でも切れたら、その部分に関する設問を正解することは難しいでしょう。
お話のなかに季節の常識、語彙力、数量や推理などの要素も入れて練習すると良いです。
特に人や動物の名前、出てきた順番などを聞き逃さないようにする必要があります。
(3)行動観察(体操・運動)
いわゆる有名なクマ歩きや鉄棒ぶら下がり、体操サーキットなどです。クマ歩きは体幹がしっかりとしていないとブレますし、スピードもモタモタしてしまいます。素早くテキパキとできるようになるまで頑張りましょう。
鉄棒のぶら下がりやマット運動も要練習です。握力がついていないと、すぐに鉄棒から落ちてしまいます。幼稚園や保育園での遊びの中で握力がしっかりついていれば心配ありませんが、夏休みくらいから毎日トレーニングしておくと良いでしょう。
大切なことは「体幹がしっかり整っているか」「キビキビと動けるか」「言われた指示通りに動けるか」「待っている間にふざけたり喋ったりしないか」などです。行動観察ではその辺りを見られています。
(4)行動観察(口頭試問)
先生から質問を聞かれた時はしっかりとお答えします。これがなかなか5歳児さんには難しいのです。初めて会う人からいきなり尋ねられて応えるのはハードルが高いのです。
必ず文末には「です、ます」をつけること。相手の目を見てハキハキと話すこと。手や足をもじもじさせずに姿勢良く話すことなどがポイントです。
女の子でよくあるのが、長い髪を指先で触ってしまうこと。スカートのポケットあたりをニギニギしてしまうこと。
男の子もズボンのあたりを手持ち無沙汰で触ってしまうことが多いです。習慣になっているとなかなか治りませんので気をつけましょう。
(5)巧緻性
筑波の場合はちぎりを含む制作課題です。「ちぎり」とは、人差し指と親指で細かく紙をちぎるのですが、「やぶり」とは違うので気をつけましょう。
制作課題は幼稚園や保育園で行うものとは大きく違い、複数の工程を含む作業を一度に口頭で説明され、作業工程や細かい指示通りに製作していくというものです。

筑波大学附属小学校入試における保護者の試験参加について
筑波の場合は出願時に志望動機を記入する箇所があります。また、1次抽選後に子どもが試験を受けている間に作文があります。
つまり、筑波大学附属小学校を受けるにあたり、親御さんが準備するのはこの2つ。面接はありません。
出願時に記入する志望動機については、それをしっかり作って書いたところで1次抽選に通過するかしないかには無関係です。
でもでも、きちんと書きましょう。「1次抽選に通ったならば、絶対に合格するぞ!」という気持ちで書けると良いですね。
誤字脱字に気をつけ、文章は見直し、枠の中を8割は埋めるようにしてくださいね。くれぐれも「うちの子と校風があっているから」とか「通いやすいから」という理由だけで済ませないようにしてくださいね。
子どもが試験をしている間に親が書く作文も、それほど難しいものではないので構える必要もないでしょう。私立小学校の願書のように、数ヶ月も前から何度も書いて幼児教室に添削してもらって・・・などは必要ないかもしれません。
でも、1次抽選に受かったら、お通いの幼児教室の先生に一度は見ていただいてアドバイスをもらえるとより良いですね。書くときの注意点やどんなポイントをアピールしたら良いか、などです。
いずれにせよ誤字脱字に気をつけ丁寧な字で文章の組み立てがしっかりしていればそんなに厳密に作り込む必要はないと思います。
志望動機にせよ作文にせよ、内容については、国立大学附属小学校の教育目標や学校の特色をきちんと理解して作文する必要があります。
中学受験のための勉強や指導は学校では行うことがありません。連絡進路(内部進学)も全員ができるわけではありません。国立小学校は教育研究校ですので、教科書通りに授業が進むばかりとは限りません。
国立小学校のデメリットとも思える部分もしっかりと見極めて、それも含めて希望していることが大切です。子どもを思う親の気持ちとして、学校研究はしっかり行なった上で書くようにしてください。

筑波の1次に受かったら
11月上旬の1次抽選に通ったら、2次試験に向けて本格的に対策を徹底させましょう。
小学校受験塾であれば11月の1次抽選が終わった頃から「筑波対策講座」などが始まります。最後の仕上げにこのような講座に通うことも、合格を引き寄せる方法の一つだと思います。
筑波対策講座などに通うと、試験当日の服装やら、何時くらいに行ったら良いのか、待合ではどのような雰囲気なのか、など表に出てこない情報をいただけます。
ゼッケンなのかヘアバンドなのか名札なのかも重要な情報。お試験当日と同じような服装で練習するのも大切なことです。
塾の中で、同じように筑波を目指す子どもたちの中で健全に競い合うこともできます。
さて、実はとても残酷なようですが、毎年のように国立受験の抽選の非常さを見ている我々のような幼児教室や塾の先生の目から見ますと「筑波も御茶ノ水も1次抽選で落ちる(通過できず)が一番幸せな落ち方だ」と言われています。
何よりも辛いのが、1次通過し、2次も合格し、3次抽選に落ちること。この非情な残酷さを考えると、1次で通過できずにすっぱり「ご縁がなかった」と諦められるのがいちばん幸運なことかもしれないということです。
筑波の場合は、1次抽選に受かったところからどなたも筑波対策をみっちり行うからです。でも、筑波を目指して早くから私立向けのトレーニングも含めて頑張ってきているお子さんたちも多いのです。
例えば年少の11月からゆるく準備を始め、年中の11月からは受験生として通塾も頑張り、筑波の1次抽選を通過したあとの1ヶ月間もひたすら筑波に向けた図形プリントを解き、クマ歩きのスピードを早め、ストイックにトレーニングしてきたお子さんであったとしても
辛いですが2次の試験で合格できる割合は10%〜15%くらい(男女合わせて1,500人~2,000人弱くらいの人数が2次試験にチャレンジし、2次試験を突破できるのは男女合わせて200名ほど)なのです。
1次を運良く通過しても、ほとんどのお子さんが2次で退敗してしまいます。
さらにいうと、1次抽選で50%の幸運を掴み、2次でも頑張って10〜15%に入れる実力を発揮できて合格し、そのあとの3次抽選を外してしまうことは・・・これも一番辛いことだと思います。
2次突破して3次抽選に進んだ200人ほどのお子さんですが、待ち受けている3次抽選通過し、筑波に入学できるお子さんは128人。退敗してしまうお子さんは、およそ70~80名。
つまり1次抽選で4000人から50%に残り、2次のテストで10%〜15%に入り、3次抽選でご縁をいただけない・・・これは言葉もないくらい辛い現実です。
抽選はいわゆる福引です。くじを引いて「やった!」とか「万歳!」というムードではありません。シーンと静まり返った会場で黙々と抽選が行われます。
試験合格後の抽選があるというのは国立の非常に残酷なことで、それがいちばんのデメリットですね。本当に運も実力のうち、という入試です。
しかし、仮に3次抽選で残念だったとしても、それまで筑波に向けて親子で頑張ってきた努力は決して消えることがありません。小学校に入った後に必ず役立ちます。
私立小を全く受けず、国立のみを希望していた場合は「ダメなら公立で6年後に中学受験でリベンジ」というお考えの方も多いと思います。筑波に向けてトレーニングした図形やお話の記憶は、中学に受験に必ず役立つ知識の土台として固めることができるのです。
その努力はいつかきっと、微笑ましく思い出す日が来ると思います。
さあ、今年も筑波に向けて、頑張れ子どもたち!
MBキッズカレッジ用賀校「筑波大学附属小 集中特訓コース」

